私の月9

缶でも蹴ったら戻ってこないような、おっぴろげな青空が憎い夜勤明け。

好きだった男からメールが来たりする。
好きだった?
好きな?
好きだけど?

彼への気持ちを今もどこの棚に整理したらいいんだか、全然わかんない。

それでも保留にされてる人生の事柄はたくさんあって、

例えばずっと行ってない歯医者と虫歯とか、
期日の迫ったレポートが一文字も書かれてないとか、
そろそろ美容院に行きたいなあ・・とか、

そういうのに紛れて存在感を失いつつあった時に、だ。


携帯をauに変えたから登録して下さいとか、そんな業務的な。
飛びつきたくても飛びつけないようなメールが、実に一年ぶり。


どーせ連絡してこないなら、こんなの教える意味なんてあんの?
つーか、それともむしろ連絡が欲しいってこと?
こんなアタシでも電話して下さいってこと?
なになにー?もしかしてホントはちょっと私のこと好きなんじゃねーの?
いやいやいやいやいや。

落ち着け。

そういえば、私、振られたんだった。

わかってる。
わかってる。
でも!


auはね、私もずっと狙っていて、もうすぐauに変える予定だったんだからね!ね!
ってことをどうしてもどうしてもアイツに主張したくて、
メールを返した。
さっそく。




さっぱり返ってこねぇのね。




新品の携帯、きっと片時も離すはずないのね。

だからきっと、やっぱ、

おめぇのことは振ったんだから、境界線越えてくんな、め!

ってことなのかなあ・・。

だったらいっそ、いいよ、じゃあ教えんなよ、余計な恥かかすなよ、おめぇのことに関して私は全く空気が読めないんだから。

いじいじいじいじいじいじいじいじいじいじいじいじいじ・・・






カッキーン!


こういう時は、いやはやバッティングに限るね。
荻窪
寂れたちっともオシャレじゃないエレベーターに乗り込んで、おもむろに財布から出すバッティング券。

間抜けなストロークをしてくる機械に
女だと思ってなめんな!
(あ、一応、女なんです、そのへんお見知りおきを!)
って感じに安打安打ですよ。

飽きたころには1人で警視庁ゲームですよ。
右に左にタマを避けながら、ときどき「タカ!」とか架空の相棒に目で合図。




あーすっきり。




忘れた頃に、また君からのメールを見つけて。



やっぱり今日もこの荷物をどこに片付けていいのか、皆目見当もわからない。




缶けったって戻ってこないようなおっぴろげなアイツに、
やっぱり缶を蹴り上げるけど、重力は解放されなくて、
おでこにコツンと当たる日々。

せめて同じ天気の下を生きている事を誇りとして生きて行くには、私、貪欲すぎて。