日頃の鍛錬の賜物か、毎日すこぶる快調、っつーか快腸です。
こんな穏やかでとめどない流れは美空ひばりか私かっつーくらい、あたしという名のバイパスにおいて、本日の東京、渋滞ゼロです。
便秘っつー言葉がこの世にあるのを疑うくらいの、秒殺。
そして、ウン速の貴公子の名を欲しいままにしてきた私。
世の女子たちは「うらやましー」なんて黄色い声、聞こえてきてます。
それも当然。
あなたが男性なら、よく考えてみて下さい。
例え矢田亜希子レベルの美少女だとしても、三日分のウンコが詰まった矢田亜希子と、
ウンコ含有量ほぼゼロの私。
抗菌消臭 当たり前のこの時代、絶対、私のほうが好かれます。
チヤホヤされるはずです。
でも実際、人間のウンコ含有パーセンテージは公(おおやけ)に発表されない、目に見えない極めて内面的な(かつデリケートな)問題なので、
「俺、外見より内面重視だから」ってのが口癖の男性たちも、
よもや腸内環境までは視野に入れてないようで、
未だかつて、私がすこぶる快腸ってことを長所として、男性から好かれた試しはありません。
残念です。
すごいのに。
すっごい快腸なのに。
このように、他人に比べて、追随(ついずい)を許さないような、
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのある圧倒的な特技があったとしても、
それに対する価値が世の中で認められていなければ、
それはあまり意味がなくなってしまうのが、
現代社会の悲しいところです。
「お前にはお前にしかできないことがあるよ!」とか
「お前にしかない長所があるよ!」とか
肩を叩いて励まされて、あいつったらイイコト言うなあ・・なんて思ってっとホント首取られっから。
自分にしかない長所ほど、厄介なものなんてないのです。
ってわけで、最初に戻ります。
日頃の鍛錬の賜物か、毎日すこぶる快調、っつーか快腸です、あたし。うん。
あたしのうんこのイイトコロとして、もう場所を選ばないことです。
そうです、天才というのは場所を選ばないものです。
いつ何時でも生み落とす準備はできてます。
あたしの腸は、多分、アスレチックプールの滑り台みたいなもんで、もうね、数々の盟友(うんこ)たちがヤッホー言って滑り降りていくんですよ。
しかも、立派になって!みたいな、もう母を泣かせる気満々の勇姿なんですよ。
でもね、私はそんな彼らの勇姿を見送りながら、思うんです。
『日本はあたしに狭すぎるのかもしれない・・』
これね、極めた者たちが一度はポロっと言っちゃうセリフね。
これで、このあと、大空とかをね見上げたりできればね、完璧なんだけど、私がこれを呟くのは申し訳ないくらいに、専らトイレの個室なんだよねー。
でね若干、さっきの「彼の勇姿を見送った」には語弊があってね、正直、いまいち見送りきれてないんだよねー。
いまいちっつーか、
確実に見送りきれないっつーか、
見送りは湿っぽくなるからいらねぇぜっつーか、
いやーなんつーか、もうぶっちゃけた話、ちっとも流れないんだよねー、こいつ。
今度こそ本当にさよならよ!なんてレバーをひねれども、あきらかに排水溝あたりに頭を打ち付けて戻ってくるんだよねー。
キャッチ・アンド・リリース。
ひどいときなんて、水の流れにすらと微動だにしないかんねー。
もうたたずまいは、巨匠。
でね、でっかいヤツがまた、いいヤツでさー、ちっちゃい奴らを守ってるんだよねー。
まさに牛若丸と弁慶。
もうね、段々、変な汗とか出てくるよね。
まぶたとかね、ちょっと痙攣してくっから。
でねムキになって何度も流すんだけど、
あれだよね、
タンクがまず限界を訴えてくるよね。
うちの村はもう一週間も雨が降らなくて・・みたいな水流になってくるよね。
ちょっとした小川のせせらぎ、みたいな。
したらね、外からガヤガヤ声がしてくんのね。
あきらかに4人くらいの男女の声ね。
家族でスキーに行く途中の山道の兼用トイレだったのね。
「もれそうなんだけどー(笑)」
「ユウジ超汚いからー(笑)」
もうね、何の運動もしていないのに、呼吸が荒くなるのが分かった。
心拍数が見る見る上がって行く。
外から楽しげなカップル達の声が扉一枚隔て、聞こえてくる。
「うんこしたらワリー(笑)」
「てめぇふざけんなよー(笑)」
・・・ごめん。
・・・ごめん、うんこした。
取り返しのつかない現実が、便器を占拠している。
ちっとも流れない。
ちょっとした戦艦大和みたくなってる。
ちょっとシュミレーションをしてみた。
1 何も無かった顔で出てみる。
もうね、その瞬間の女の子とか男の子の反応を考えると、カーってなった。
カーってなって、頬が震えた。
ので、このシュミレーションは中止した。
2 「なんか前の人のが流れないんですよー」という前の人のせいにしてみる。
これだ!
いい作戦だ。
無駄が無い。
天才がいた!
こんなとこにアイデアマンがいた!
私は意気揚々と外にでた。
「な、なんか前の人のが流れないんですよー」
ちょっと、噛んだ。
すっごい赤面してることも気付いてる。
でも、何とか、私は危機を脱した。
男女4人組は、おそるおそるトイレを覗き込んで大爆笑。
私は若干の恥ずかしさを覚えながらも、
「ね!すごいでしょ!困っちゃうよね」みたいな演技をカップルたちに向けた。
したっけ女の一人が言った。
「この前に入ってたのって高橋じゃん!」
一同「え?!」って顔。
高橋を知らない私も「え?!」て顔。
え?私の前に入ってたのも、あなたたちのお友達の方・・?
爆笑しながら男の子たちが外に飛び出して
「高橋ー!!おめぇ、うんこ流れてねぇよー!!」
と、高橋(であろう人)を呼んでます。
え、いいのに。
呼ばなくていいのに。
そっとしておいてあげなよ。
私は「してねぇよ!」と確認にくる高橋(容疑者)と入れ違うように、競歩を疑うような早歩きで外に逃げ出しました。
このサイトも今日で二周年を迎えます。
あたし、頑張ったなあ。
あたし、かっこいいなあ。
はなし、長いなあ。