ねえ神様、好きな男のブログが読みたい。

「加藤、オレは駄目なんだ。
 でも加藤の幸せを一番に祈ってるぜ」

「加藤が、本当に大事な男を見つけられるように、
 祈ってるよ」

「加藤に似合う男はもっと別にいるんだよ。
 早く出会えるように、オレ祈ってっからさ!」

「加藤、あのさ〜(以下略)祈ってるよ」


告っては振られ、告っては振られ、たまに告りもしないうちから遠回しに振られ、


おーい!

おめぇら、ちゃんと祈ってっかー!


今や、ちょっとした宗教法人並に祈られちゃってる私だけど、

これニッチもサッチも こと恋愛においては、成就したためしがありません。

もう正直、成就が早いか成仏が早いか、追いつけ追い越せのデキレースです。



でも、恋愛が楽しくて楽しくて楽しくて仕方ないです。

箸が転がっても恋してしまいます。


つい最近も、うちの病棟に配属された研修医が、
え?おめぇケミストリーの川端の横あたりにいなかった?っつーくらいのイケメンで、

つーか川端の横あたりにいた人に、若干のインドが混じってるかもっつーくらいのイケメンで、

つーか、この際全部インドで!っつーくらいのインド人顔なんですけどイケメンで、


つまりね、イケメンだったんです研修医が。


したっけ、もう恋がね、始まっちゃってるわけですよ。

寝際とかね、彼のことばかりですよ。
想像も膨らむばかりで、結納の品まで考えたところで、朝が来て、


私はね、急いでネットで知り合った北海道在住の主婦にメールするわけです。

なんつったって主婦だから、そりゃね、経験もテクも熟年のワザがあるに決まってるわけです。


軽く お子の成長に触れながらも、

『うまいアプローチがあったら、教えて下さい』

と御口授 願った。


すると、すぐに返事が来た。


『うまいアプローチ!?
 そんなもん知ってたら今頃北海道なんかでくすぶってない。

 そんな私のアドバイスだから
 役立つかどうかはわからないけど・・


 とりあえず、1日目は目の前でハンカチ落とせ。

 次の日は財布、また次の日はカルテ(カルテ?)、

 そうやって最後の仕上げに婚姻届を落として任務完了!』


私も急いで返事を返した。


『オッケー!

 とりあえず、落とせるもんは惜しみなく落としてみる。

 私ったらウッカリ屋さんをアピールしてみる。』



やってみた。


ただ、なんつーか、イケメン研修医は三日くらいしかうちの病棟にいないことを伝え忘れてて、

その辺は、私なりにアレンジを加えて、作戦を実行してみた。


そして結果報告。


『どーもどーも。
 昨日は思わずウッカリを装って、
 落とせるもんは そこいらじゅうに落としてみました。

 ハンカチ・・持ってなかったので、ティッシュ落としてみました。
 したっけね、インドの奴さ、ばっちり拾ってくれたわけ。

 でも、それがさー、もうさ、毛という毛が抜け落ちるくらい
 アダルトな広告の入ったティッシュだったわけ。

 インドの奴、軽く額の宝石ずれてた。

 (額の宝石はイメージです)


 なんつーかさ、印象づける出会いはできたと思う。


 なので、それを皮切りに、
 もうさ無我夢中で、ヤルかヤラレルかの勢いで
 モノを落としてったわけ。

 したっけ、先輩の雷が落ちました。

 それを見ていたインドはプみたいな笑いを
 浮かべていました。


 だーいせーいこー!!


 ダヨネ?』



すぐに主婦から返事がきた。



『よし、第一ミッションクリアだな。
 大丈夫、次のステップ用意してあるから。

 一通り落としたなら、今度はさ逆いこう、逆。

 やたら、拾ってみよう?

 ボールペンとか診察券とか、
 もうそこらじゅうに落ちてるもん拾って、
 隙あらばターゲットに

 「もしかしてこれあなたの?」

 って持ってくの。

 時には

 「鑑識に回したら
  あなたの指紋が検出されたんだけど」

 ってデキル女刑事っぽく。

 下手な鉄砲も数打ちゃ当たるわけだから、
 なにかしらターゲットの大事な私物を拾うはず。
 彼の役に立てるはず。

 草の根一本残さないくらい拾ってけ!』



このメールを見て、インドのことは諦めようと思いました。

インドを無理して追いかけなくても、
彼女ですらできた結婚を、
私ができないはずは、ないな と。