街角で試供品を貰って、家で開けたらギャツビーでした。
加藤はいね、花も恥らう25歳、かろうじて掴み取った性別は、女性。
つーか女性歴もそろそろベテランの域に入ってていいはずなのに。
つーか、こういうこと、前にもあったなあ。
そう、丁度、少女から女になろうっていう時期に、
つーか高校入学前なんですけど、
学校指定の水泳用具の店を友達に聞いたら、
これまたすっげえ年老いたおばあさんの店を教えやがって、
出てきたばあちゃん、
志村けんの婆さん並みに声は届かねー
メモに書いても文字は見えねー、最悪で、
老体に鞭打って、
つーか私息切れ、
ばあちゃん虫の息って感じで、
やっとのこと購入したと思ったら、
挙げ句の果て全然違う水泳帽を売ってくれちゃってて、
でも、夢にもそんなこと思わなかった私は、
これこそ唯一無二の学校指定の水泳帽だと信じて疑わず、
純真無垢に、勇気満々で白の帽子を被って
まだ友達との関係もぎこちない初めての水泳の時間、
赤い帽子の溢れる中、白一人で軽く屈辱的な感じ。
あれ・・白・・あたしだけ・・?
完全なるアウェー戦。
さては、あいつ、土壇場で やりやがった・・
違う学校の帽子売りやがった・・
友達も、あれ?加藤さん帽子違うよ?みたいな雰囲気。
ちょっとざわめいてる感じ。
慌てて説明しようしたっけ、
目を疑いました。
遅れて入場してきた男子がみんな白い帽子。
あれ、その帽子、すごく見覚えある。
つーか、それと同じのが頭に乗っかってる気すらする。
ちょっとうっすら懐かしい気すらしたっつーの。
つーか、もう、クラス一同爆笑で、ちょっとプールで泣きました。
あの頃は、なんつーか、まだ若かったなって、
貰ったギャツビーの試供品を思いっきり使いながら思いました。
マンダムーって言いながら使いました。