何らかのオーラは出てたよ。

どーもー。

っつーか、ちょっと聞きたいんだけど、
オーラとか出してっかー?
出し切って生活してっかー?


今さ、何かっつーと、オーラがオーラがっつー時代じゃん。

オーラが見えたり見えなかったりで、もう てんやわんやじゃん?


で、私といえば、もうびっくりするくらいオーラとかね、見たことも出した覚えもないんですけども、

占い好きの友人いわく、

誰でも出てるらしいよ

とのことなので、

こないだ、その出具合を見に行きました。
ブームに乗っかってみました。


で、これまた占い好きの友人いわく、

サノディバイブル・ユリカ先生がいいよ、私も見てもらったよ

とのことで、地図とかをもらいまして、先日足を運んだのですが、


もうね、30分くらいかけて周辺をウロウロして、住所も確かめたんだけど、

どっからどう見ても、民家、なのね。

ちっともサノディってないのね。

360度どっから見ても、ちょっとした日本家屋なの。

玄関で、秋田犬がすげぇ吠えてんの。

表札がね、「佐野」なの。




チャイム押しました。

したら、

「はいはーい」

と言って、もうね主婦が、
見まごう事なき主婦がね、
2歳くらいの坊やを抱っこして出てきましたよ。

もうね、ジョイか何かのCMに出ててもおかしくないくらい、
普通の主婦ですよ。

もう油汚れのこと言わせたら右に出なそうな。


「あのサノディバイブル・ユリカ先生の予約を1時から取った加藤ですけど・・」

つったら、

「どーぞー!」

みたいな、すげぇフランク。

あ、やっぱ間違ってなかった・・。
サノディバイブル・ユリカだった。


で、よく分かんないけど、食卓みたいなとこに通されて、

「じゃ・・」

なんつってエプロン外しつつ

「どーもー、サノディバイブル・ユリカですー」

みたいな。


もうね、乗れるかっつーの。

サノディバイブルっつーか、思いっきり佐野さんなことはお見通しだっつーの。


それはそうと、目の前にね、ほうれん草のおひたしっぽいのがね、サランラップに包まれて置いてあるのね。

生活感がまる出しなのね。

昨日の夜、ぜってーカレーだったっつーような匂いすら漂ってるのね。

江原じゃなくとも、佐野家のオーラは だだ漏れ。

もうね、占いがどうとかね、神秘的なムードとかね、皆無。

あたしの数少ないオーラだって、
もうね、出るタイミングを完全に失ってる。


したっけ、サノディバイブル・ユリカ先生、甚だしく勘違い。

「緊張しないでねー」

だって。

もうね、オーラ感じてー。
私のオーラ、今、もう今この今、感じてー。

って願いました。

通じませんでした。


「じゃあ、リーディングを始めます」


始まりました。

何とか、始まりました。

したっけ、ちょっとしてから先生

「あ!」

とか言って、

「忘れてたー」

なんつって、何かラジカセ持ってきて、食卓の上に置いて、ボタン押しました。

微妙に、占いの館っぽい音楽。

音楽なんだけど、おひたしの横に、思いっきりラジカセ置かれてるー!

つーか、ほんと、私の目の前にラジカセ置きすぎだから。いいけど・・。


で、なんか、先生、すげぇ集中してるっぽいんだけど、

「加藤さんも楽〜に呼吸をして、眉間の部分に意識を集中して下さい。」

なんつって、もうね、すげぇ集中を促してくるんですけどもー、


えっと、

おたくの2歳児がねー、今、猛烈に私の足もとで、
ミニカーを「うーうー」とかね言いつつ操ってるわけですよ。

2回に一回くらいね、
私の足に何らかのバイパスが通ってるらしくって、
登ってきたりしてきてるわけですよ。


微塵も集中 で・き・ね・ぇ。


「加藤さん、見えました。」


えー見えちゃったのー!
今、ちょっとも眉間のことすら考えられなかったのにー!
おたくの2歳児のことで頭がいっぱいだったのにー!


「結婚は、できそうですか?」


私は満を持して聞きました。
これ聞くために今日は来た。


「結婚は一つの通過点にしか過ぎません。
 加藤さんの場合ね、オーラ的に見ても・・・」


もうね、イイトコなんです。
大事なとこ。

でも、この時点で、外にいる秋田犬が猛烈に吠えだしてるんですよ。

これでもかっつーくらいに吠えてる。

吠えすぎて、軽くむせたりしてんですよ。犬なのに。


もうね、そっちに夢中でした。
完全に聞き逃しました。
しかもタイミングを失って、聞き返せませんでした。


ので、ちょっとまた話の折りをみて、


「で、いつ頃 結婚できますかねー」


と聞き方を変えて攻めてみた。

正直、攻めあぐねた。


「いつか」というのは、人それぞれだから解らないらしい。


「えっと、じゃあ、どうやれば、こう、うまいこと、結婚できますかねー?」

イイ質問したと思った。

思ったのに。

「そうねー、あなたいい歳なんだから、
 そろそろお経とか読んでみた方がいいわよ」


ごめん、これ2回聞き返しました。

さっきまでの自分が嘘のように、しつこく聞き返しました。


まさかね、いやー、まさかね、「お経」ではないと、
万が一ね、今の発音が「お経」だったとしても、
私の知ってるお経とはね、別モンだと、


だって、私いま、どうやったら結婚できるかっていう質問をしたんだよね?

お墓、とかね、老後、とかね、そういう単語は一切出してないはずだよね?


「お経っていうのは・・あの・・お経ですか?」


「お経もね、今は横にフリガナ振ってあるから、あなたでも読めるから」


みたいな。

もうね、結婚をね、優に三馬身は飛び越えたアドバイスなんですよねー。

でも、ほら人生の先輩の言うことだかんねー。



で、まぁ今、お経三点セットが手元にあるわけです。

ほら・・ま・・いつかはね・・使うし・・

全然・・無駄じゃないし・・・


アタシ、騙されてなんかいないかんねー!