ポップな病気

看護学生の時からの友人が深刻な声で電話をかけてきた。

『あたし、2週間くらい仕事休むから・・』

『なになに?旅行でもいくのー?』

『入院するの・・・』

一気に重い空気。

『・・あ、えっと・・・マジ・・?』

うんうん・・と彼女は何度か頷き、手術するの・・と、今にも泣き出しそう。

へたに看護師で医療かじってる分、病名とかホントにリアルで、聞くのが怖い。

うわー・・と思いつつ

『なんの病気・・なの・・?』

聞いた。





『鼻の』





非常に危なかった・・。

電話で良かった。

顔とか見られてたら隠しきれなかった。

この動揺。


『鼻にポリープできちゃって・・』


駄目押し。


もうさ、私は悔しいよ。

よりによって、どうして鼻にできちゃうかなポリープ。

だってさー色んな場所があるんだよ?

喉にできれば心配するし、100歩譲って大腸とかにできてくれたって、私は激励の花束送ったよ。

それがよりによって、鼻。鼻ポリ。

声でちゃいました。


しばらくして、また電話がかかってきました。

『明日退院するー』

『へぇーよかったね、うんうん・・待ってるよ』とか言いながらも一抹の疑問、

誰、このオペラ歌手?



いつも鼻声だったあの子が、すごいエレガントな声で帰ってきたのは、それから間もなくの話。