医療ミス

朝起きたら、ボンドガールになってないかなぁ。
何かの手違いで。


かくいう私も仕事で手違いした。

仕事でミスった。


医療のド真ん中にいながらにして、痛恨のミス。



患者さんに食事を介助する時のこと、


「これ付けてお願いします」

って患者さんの家族から手渡された患者さん用の首かけエプロンを

「任せて下さい!」

なんつって、親指グーなんつって、
患者さんに付けないで、自分に付けてた。

もうね、何で自分に付けちゃったのかって、
ほんとね、説明できない。

看護師も4年目になりまして、
食事介助という食事介助を欲しいままにしてきましたし、
患者さんにとってエプロンはマストアイテムだって、百も承知。

でもね、その時はなぜか、
絶対、自分だっつー、言い知れぬ確信があったっつーか、
川がね、流れるがごとく、ほんと自然に付けてた。

もうね、何の疑いもなく、成人にもなって真顔で花柄の前かけ 付けてたわ。


あの時の、「・・・あ・・」みたいな家族の顔、忘れたいっ!!


いやね、若干おかしいと思ったんだ!

何かがいつもと違う感があったんだ!

アタシ食べないのに、何でエプロンするんだろうって。

あーもしかしたら、患者さんがすげぇ勢いで食べて飛び散った残骸が、
あたしの服に付かないようにかなって。

すげぇ親切な家族だなって。


もうね、婦長がちょっと後に通りかかって、
「加藤さん・・・」
っつー顔を見るまで、ほんと幸せな30分間でした。


一瞬にして、

鳥肌立ちました。

我に返りました。

点と点が繋がりました。

あっ。あたし。
もしかして、患者さんのエプロンしちゃってるってことない?

まさかねー! (なんつって自分見て)

してるー!ちゃっかり、してるー! (んで患者見て)

してないー!当たり前だけど、完全にノーガード!


激しく赤面し、今更脱ぐこともできない私に、
家族が必死に

「大丈夫、もう一枚ありますから、看護婦さんそれ使ってて下さい」

って言ってくれたんですけど、
もう、なんつーか、ほんと、惜しい…。フォローの角度が。
どっちかっつーと、脱ぎたい、今すぐ!



たくさんある看護業務の中で、よりによって、ここでミストラブル。

ハインリッヒの法則の片翼を担えるかは解らないけど、
婦長いわく

「見た方が、ヒヤリハットした」

とのことでした。