それでも漫画が好きなのです。

私は漫画が好きだ。
大好きだ!

ってことを、声を大にして言いづらいお年頃になってきました。


昔はみんな りぼん愛読者ばかりで、ランドセルをガチャガチャ言わせながら

「今月の姫ちゃんは危なかったね」

「やばかった、ヒヤッとしたね。それにでも日比野さんもいいとこあるよね」

なんて、真剣に論議してたのに、

それが、いつの間にか、一人消え二人消え、
今ではちょっと漫画の話でもしようもんなら

「ちょっとそんなことより聞いてよ、あたしの彼さー」

とか言い出す始末。

こっちにしてみたら、もうほんと、ぶっちゃけおめぇの彼の浮気疑惑云々より、シティハンターの香が死んで、その心臓が実は移植されてたっつー方が、もうどんだけショッキングだったか。

だってシティハンターだよ?!

ねえみんな、正気に戻って!

あのシティハンターだよ!!


「そんなん漫画だからいいじゃん、あたしの彼なんて実際ねー」













孤独だっ・・・!










あの頃は、みんながシティハンターのお嫁さんになりたかったはずなのに。

でも、仕方ないね。
だって二人でシティハンターなんだもんね。
って、泣く泣く香に譲った、あの甘酸っぱい日々。

その香の心臓が・・・


知らないうちに移植騒動にあってたっつーのに・・・

その話題が、彼氏の浮気御免騒動(未遂)に負けるなんて・・・。

・・・これが、大人の女性社会・・なの・・・?






ってわけで、私は専ら一人で本屋に行きます。

ひとりぼっちだって、漫画が好き。


そんな中、たまに二人や三人なんかで、漫画を買いに来てる女の子たちなんかがいて


「あーこれ、おもしろいよ、警備隊の男の子がねー」

「あー知ってる、いいよねー眼鏡がさー」

「で、またさー眼鏡外した顔が超いいんだよねー」

なんて会話をしていると、もうほんと、恥を忍んで混ざりたい。
何十年来の友のフリしたい。

「それさ、ラブシーンの前に必ず乱闘で眼鏡が吹っ飛ぶように描かれてるの知ってた?」

って言いたい!教えたい!

それで、 へー! って言われたい。
えー、もっかいよく見てみよー! って言われたい。



男の子たちも二人連れとかで来てる。

楽しそう。

「それべジータ的に、無しだろー」

「いや、俺はアリだと思うよ」

とか言ってる。楽しそう。

物事の有る無しを、べジータの物差しで計ってる。
混ざりたい。
私もべジータ的にジャッチしたい。
なんならセル的には80%まで有り、とかのジャッチ決めたい。

でも、








孤独だ・・・・っ!










って感じなので、一人で漫画喫茶に来た。

せっかく個室を取っても、夢中になりすぎて、本棚でベルバラを立ち読む。

素晴らしかった。
ブラボー。
時間を忘れた。


個室に戻ったら、財布が無かった。


お母さんに、迎えに来てもらった。




昨日、しつこいかもしんないけど、昨日、

誕生日だった。
25歳になった。

「あんた25歳にもなって、誕生日も祝ってくれる人いないの?」

と言う母に

「いやさー祝ってくれるはずだったんだけど、仕事忙しいみたいで、
 明日ご飯食べに行くんだー」

嘘をついた。その翌日、

「じゃあ、でかけてくるねー」

って出てった娘が、


漫画喫茶にいて、しかも財布なくしちゃってる図って、
母親的に・・どうなのだろう・・・。





でも、私は、





べジータ的には、有りだ。





と、思う。




うん。