親愛なる赤毛のアン様へ

『10代のうちに「赤毛のアン」を読んだ女の子は
            幸せな結婚ができるらしいよ』

女子高生たちが話してました。


マジでー!
赤毛にそんな裏技がー!


で、私ですが、

アンが確か赤毛だったっつー事は かろうじて知ってるけど、
読んだかって言われると、

えーっと、読んで無いとは言い切れないんだけど、
ま、じゃあ読んだかっつーと、

読まなくてもヒシヒシと伝わってきてたっつーか、
アンのことは読まなくてもお見通しっつーか、
読んだ気になってたっつーか、
心の目で読んでたっつーか、


読んでなかったわけです。


お願いだから、こういうことは10代のうちに教えて。

すみやかに教えて。

もう20代も半ば。乗っかっちゃってる。
今、読んでも誤差の範囲、超えてる。


で、20代は何読んどけばいいの?



結婚といえば、

うちは ひな壇にしたって、出しっぱなしだった。


仕舞うのが遅いと行き遅れてしまうんですけど・・と母に申告したとき、

じゃあ、仕舞わなきゃいいんじゃね? なんつって

げー母さん、天才! なんつって

正月を迎えて、

タツに入りながら、父が

仕舞うのが遅いと行き遅れるってことは、
仕舞わないでいると、行けないってことじゃないの?

と、新たなる法則を口にしたときには、

雛人形なんて、もう立派なインテリアの一つになってましたからね。
木彫り熊に並んで堂々レギュラー入りしてっから。


まー、とにかく駄目押しなわけ。

雛人形とアンに、あたしの結婚が8回裏くらいで押さえられてるわけ。



でもさ、こないださ
フィアンセがいるって豪語してた職場の先輩が

サラッと

「私、赤毛のアンなんて読んでないわよー」

って言ってたから、

まー結婚するしないは、アンの出る幕じゃねぇよって思ってましたら、


もーほんと、見事、振られたそうです。
アンの奴、打ち取ってた。
赤毛、守護神っぽくなってた。


で、電話かかってきて、もうねゥヒッックゥ…みたいな言い表せない声を上げてたので、駆けつけました、後輩として。

したらね、手紙貰ったっつーから、見せてもらったわけです。


まーなんつーか、
「お前のせいじゃない」とか「俺が悪いんだ」とか「職場に気になる人が」とか、まーほんと世知辛いことが書いてある中で、

「これからは、良き友達として、良きアドバイザーとして、また反面教師として、付き合っていけたら」

みたいな文があって、

先輩、振られた上に反面教師って宣言されてっけど、これ…、

と思ったんだけど、

もう先輩が何せゥヒッックゥ状態なんで、
ここは、黙っていようと思ったんだけど、

最後の最後に


  本当に、ごめんな。


         DEAR T.Y
                  」

みたくなってて、

もうね、我慢できなくって、


「先輩、このT.Yて…」

「山田タカシって言うの」

「・・・・。」

「・・・・。」

「先輩、ほんと、ごめん。
 ほんとね、今日だけはね、ほんと悲劇のヒロインに
 させてあげたいんだけど・・

 DEARて!」



もう、こんだけ付き合ってて、最後がなんでイニシャルトークなのかとか、ツッコミたいとこは他にもあるけど、まずっ!


DEARはねぇだろ。


ほんと、最後の手紙で英語の間違いとか最悪だから。
散々、俺が悪いとか言っちゃって、
最後に思いっきり、自分、親愛(DEAR)決めてっから。


したっけ先輩も顔を上げて、

「ほんとさー、このDEARのせいでさ、
 涙の出がイマイチなんだよねー!」

って台所に行って、ラーメン煮てました。



すげぇフィアンセだったなと思うと同時に、
文末の「DEAR」を見るたび、


アンは良くやったと思う。