━━━ 25歳、夏。
25年間、誰にも抱かれず、
唇を奪われるようなケアレスミスも無く、
ここ最近、パーソナルスペース内に男性を入れたのなんて、
せいぜい満員電車くらい。
25回も夏をやってるのに、
アーチーチーアチー(郷)みたいなことが一回もない。
訴えたい事がある。
主張したい。
何だったら署名活動をしてもいい。
歩道橋で、海で、何なら発車する電車を追いかけながら、叫びたい。
『あたしのパンツが可哀そうだーーーーーーー!!』
あたしのパンツ、可哀そうだ。
25年間、何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も(略)
何枚ものパンツが、私のとこに訪れ、そして去っていった。
いつか愛する人の前に恥ずかしげに顔を出す日を夢見て、
何枚ものパンツが、私の股間を彩った。
それが、あんた よってたかって泣き寝入りですよ。
あたしだってね、本当はヘソまでバッチリ入る木綿のパンツが大のお気に入りなんですけど、
あいつら三枚980円くらいで、すげぇ ケナゲな子たちなんですよ。
でもね、私もセブンティーンだなんていう、こう何があってもおかしくない年齢になってからは、
ワ・・ワコール?とか、そういう大人の世界に足を踏み入れたわけです。
何この生地!こんなんで地球を守れるの?!
みたいなパンツを手に入れたわけです。
パンツというか、もはやそれは、パンティーと呼んでも過言ではないような。
「あのさ・・今日から・・、
あなたのこと・・パンティーって呼んでもいい・・?」
みたいな緊張感ある生活の始まり。
そう、清楚で純情可憐なものから、
燃え上がるようなセクシーなやつ、
異国情緒漂うエキゾチックなもの、
どいつもこいつも、
ただ人目、男子の目に触れることを夢見て舞台に立ってきた。
もう、この際ね、痴漢でもいい。
「こんな下着付けちゃって・・」
みたいなことでもいい。
一言!感想を!!
でも、25年間、痴漢にすら出遭ったことがないという奇跡。
奇跡の少女(25)。
あんな満員電車に乗ってるのに。
そんなあたしのパンツに感想を投げかけてくるのなんて、
せいぜい母親くらい。
「あんた、こんなちっちゃいパンツ穿いてたら、
膀胱炎になるよ!」
あたしのとっておき、エロ可愛いが売りの1470円パンティーを
膀胱炎扱い。
しかも、この前、母親が風呂から上がったと思ったら、
その1470円穿いてたから。
穿ききってた。
なんかね、もうね、むしろ潔いくらいだった。
あいつもベンチでくすぶってるところを、まさか55歳に代打指名されるとは思ってなかったような、
ショックを隠せないような伸びっぷりだった。
そうやって、私のパンツたちはカッピカピになりながらも、
今か今かと、出番を待ちわびているのに・・・・!!!
6233万の日本人男子は、私のパンツに謝れ。