目が覚めたら三月でした。

丑三つ時に、手描きのネコのトレーナーで、おでん買いに行ったんですけど、

もうね、全然カッコいいんですよ、店員が。

制服とかね、何それ、どこのブランド?ってくらいで。


かたや、私の着てるものって言ったら、
冒頭で述べた通り、ほんとね、申し訳ないくらいネコでね、

ネコつったってね、キティとかねおしゃれキャットとかね色々あるわけなんだけど、

もうね、作者不詳。
まじまじ見たけど、心当たりなし。
著作権とかね、全然主張してこない感じ。


そんな私にね、カッコイイ男の人が「いらっしゃいませ」とか言うわけ。



もー断固として、いらっしゃいません。



なんて言えばいいかな。違うんだよね。

かっこいい人とかね、見たいよ。会いたいよ。喋りたいよ。
機会さえあれば、ちょっと触ったりもしたい。

でもね、違うんだよ。

T.P.Oって言うかな。

午前三時のコンビニにおける、カッコイイ店員の需要と供給っていうかさ、
もーさ、全然求めてないんだよね店員のかっこ良さとか。
むしろおでんを乞うて乞うて、ここまで来たわけ。

なのに、この、ふいなイケメンとの遭遇。

ちょっとした抜き打ちテストみたいなイケメン。


そんな彼が、なんつーか、おでんを汲む間、
あたしのトレーナーのネコを見すぎ。

飼ってくださる?っつーくらいの凝視。

おでんとかね、ノールック・ワンタッチパスで器の中入れてた。

私も、あんまりに見られるもんだから、もうカツカツになって、
昆布二つしか頼めなかった。

もーいいです。って。
昆布二つで、勘弁してください。


お箸は?って聞かれて、

二膳!ってワンツーで見栄張ったけど、

午前三時に昆布二つを二人で食うって、
どんだけ貧しい設定なんだよ。

って思って、形勢逆転を狙い、
あえて、一万円を出してみたこの計算高さ。ちょっとしたツンデレ


したら、彼がちょっと、「え?」みたいな顔して、
あれ、おつりの千円札足んねぇ、みたいな顔して、

「少々お待ちください」

とか言っちゃって、奥に消えた。








超1人。







何か無意味に携帯とか出してみたけど、
無意味にスクロールしてみたけど、
で、また しまって、


「えっと・・・いいですよー細かいのありますよー」


って叫んでみたんですけど、音沙汰無し。

道中で何かの事件に巻き込まれた?ってくらい、反応なし。


その間に、何か場末のカップルが入ってきて、
「え?」って顔して出て行ったし。


私も、なんつーか、つらくて、
そっと店をあとにしました。

なんか「少々お待ち」の範囲を逸脱してたし、
おでんとか、完全に湯気出す気力を失ってたし。


で、もう一個の方のコンビニに行ったんだけど、

もうね、見事な店員で。適材適所。

完全にアウェーな顔立ち。

アウェーっつーか、私からしたら、ホームみたいな。
帰って来た…みたいな。

もう、ネコとかね、もっと見て。全然見て。一緒に育てよ。はぐくも。

おでんは、でっかい器で。
つゆとか、少なめで。

いやー、会えて良かった。
君に会えて良かった。

お父さんとお母さん、最高なコラボ。
午前三時にコンビニでレジ打つために生まれてきた感じ。

私の両親のセッションも捨てがたい。
午前三時におでん買うために生まれてきた。


髪型だけは、ちょっと玉木宏に似てた。
すげぇキマッテタ。
無造作を欲しいままにしてる。

あたしも、結構 枠に囚われない髪形をしてたから、
その辺もドローで。