お家でできる、お手軽ドライクリーニング

中古で買った洗濯機が、手負いの獣みたいな子で。


いや、なんか、長年使ってた洗濯機が突然トトロみたいになっちゃって。

なんていうかな、「開始ボタン」を押すコトとかって、
もはや洗濯には避けては通れない道なんですが、
なんつーかな、20回くらい押して、ようやく1回洗濯が開始できるみたいな。

「おねがい! トトロのところへ通して!メイが迷子になっちゃったの!
 もうじき暗くなるのに…あの子 どっかで道に迷ってるの!」
くらいのドラマティックな展開がないと、洗濯が成功しなくなってしまって。

で、まぁ、買い替えるっていう大人の対応をね、サクっとしたんですけど。

中古で買った洗濯機が、手負いの獣みたいな子で。


前の家でね、どんなことが この子にあったかはわかんないんだけど、
多分ね、根はね素直でイイ子だと思うんですけど、
なんつーかな、不器用なのかしら、

洗濯機でありながら、洗濯が苦手っていう、十字架をね、背負ってる。
完全なるミスキャスト。


まずね、「洗う」っていう洗濯における、メインイベントがあるじゃないですか。

そこはね、非常にダイナミック。
なんかシャチでも迷い込んだ?っつーくらいバシャついてんの、洗濯槽が。
すげぇ洗ってんの。
洗ってくれてんの。
その洗いがね、すごくて。

洗濯って、こんな桶狭間みたいなことだっけ?

ってね、思った。
なんかね、フタからちょっと袖とかが飛び出してきてんの。修羅場。
あとね、洗濯機からね、すっごい水しぶき飛んでくる。

もうね、この時点で、フタが ゆっるゆるっつーのはお見通し。
完全にパカついてた。


でね、次は「脱水」っつー大舞台が待ってるわけですが、

もうね、ここは間違いなくダイナミック。
気迫感じる洗濯槽。

地響きみたいな回転音と共に、すごい震えはじめて、
なんつーかな、「脱水」に ヘリポートを感じた。
あ、この洗濯機、離陸すっかも…って思った。

で、案の定ね、フタがね、ぱっかぱかでね、
中の様子がたまに垣間見えたんですけどね、

ねるねるねるね みたいになってた。

驚いて、もうちょっとよく確認したくてフタをちゃんと開こうとしたら、
もうね、さっきまでね、フタ ぱっかぱか だったくせに
すげぇブザー。
囚人脱獄したくらいのブザー。
ビ——————つって。


んで、全ての工程が終わってフタ開けたら、
セーターが半分くらい毛糸に戻りかけてた。
マジカルー。



という感じで、「洗濯」というイベントから遠のいてたら、
新しいパンツが一枚もなくなったよー。

でも、洗わなくても二ヶ月くらい ほっとくとカピカピになって、
逆にニオイが消えることを発見。
気分も新たに、また穿けます。
マジカルー。