もし木村拓哉に出会ったら

私ね、今日さ暇で暇で暇で、窓から雲が右から左に捌けてく間に、「やべ今、呼吸してしてなかったわ・・!」ってくらい暇で、何でこんな暇なんだろう・・って考えるとゾッとするので、もっと何かこう、素敵なことでも考えちゃおうかなって。

思って!



やぁーみんな元気ー?
ところでさー、地球しかもここ日本に生まれた私たちだもの、ある日突然キムタクに遭遇しちゃうことって全然あ・る・よ・ね!

そんな時どうする?

やっぱり焦らずに自分らしく、しかも同じ土俵で勝負していきたいよね。
できればキムタクの人生に一石投じてやりたいよね。

でもやっぱいきなり補助無しのキムタクを乗りこなすのは至難の業だし、ちょっとこわいって気持ちもある。大体キムタクなんてホントにいるのー?って声もチラホラ。

だけど考えてみて、備えあれば憂いなし、いつ何時キムタクがあなたの人生に降りかかってきても焦らず冷静に対処できるように、今回独自に開発した対キムタクPROJECTをみんなに発表しちゃうよー!

もうコレで初デートでキムタクに会っちゃっても彼女の前で恥をかかない。
男性も必見だよ!



『 対キムタク要項 』

まずは、キムタクに対しての概念を変える必要があると思うのね。

多分、私を含めて多くの人がね、キムタクに会う→嬉しい→ラッキー→こんなことって人生何度もないはず→私の人生に花添えたい→サインもらう。
みたいなね、「キムタク=祭り」の法則が成り立っちゃってると思うの。
自分の人生にキムタクを刻み込めようと必死なの。

でもね、もらったサインを抱きしめて抱きしめて、握手したらこの手もう洗わない!なんて言って、でもそうも行かなくて、数週間が過ぎて、結構サインにも見慣れてきて、そのサインが微動だにしないし、部屋にも微妙に馴染んできて、あってもなくても変わらなくて、たまに傾いたりしてて、普通に握手した手でティッシュつかんでお尻とか拭いてて、そしてある日我に返る。

これが何だっていうの?!

全然出し切れてない。
全然、あたしの実力出し切れてない!
自分として生まれてウン十年。
この体一つで酸いも甘いも嗅ぎ分けてきた。
なのにキムタク一個でこの醜態!
キムタクの前で何もできなかった・・・!!
完全に足、止まってた。
スペース使えてなかった。
完敗だわ・・。

って屈辱に打ち震えること受け合い。

そう、あなたは気が付くはず。
真の意味でキムタクに会うこと。それは、「キムタクがあたしに会う」ってことなんだって! 


じゃあ、どうすればいいか。

まず街でキムタク発見。
焦らないで。落ち着いて。まずはゆっくり声をかけてみましょう。

「あの〜」

多分キムタクのことです。いつものファンかなってちょっと鬱陶しそうな顔。そこで!

西荻窪の駅ってこっちの方向であってますか?」

道を聞きます!

そう、この世界において、万国共通でどんどん見知らぬ人に声をかけていいのは迷い子です。
道に迷ってる人だけは、誰に気安く声をかけることも許されるのです。

そして八割方キムタクは駅の方向を教えてくれます。
その隙をついてあなたは言います。

「あれ・・あ、違うか・・あれ?」

ここで、キムタクこれまた思います。気づいたかな。って。
あなたも思惑通り気が付いた顔して

「もしかして杉高の松田くん?!」

狭ぇー。世界狭ぇー。ピンポイントで間違ってみます。
でもこのままではただの芸能界に疎い人です。
なので補足として

「あ、ごめんなさい。でもよく見ると芸能人のあの人に似てますね」

来た来たと思わせて

要潤

ちょっと外す。

そして去り際は鮮やかに。

「それじゃ、木村さん」




えーっと、こっから二人が恋に発展するまでを、ずっと考えて夕暮れになりました。
なにせ暇で暇で。