処女懐妊


・・・お母さん、あたし生理が来ない・・・。


孕んだかもしんねぇー!
愛おしいあの人のお子の生命を宿しちゃったかもしんねぇー!
キャー!


って疑いが、ものの見事に、さっぱり無し。
あたし、ご無沙汰だもんね・・
永遠の、ご無沙汰だもんね・・。

ってわけで、妊娠の可能性を疑ったことなんて、生まれてこのかた一度もないんですけども、なんとなく不安になってみたいお年頃。

いやさ、結構ね、私の生理って律儀っつーか、義理堅いっつーか、生真面目なとこがあってさ、待ち合わせに遅れたことがねぇの。

毎月大抵28日周期でもって

「あ、ども、今月も無事、ここまで来ることができました。あ、また一週間の短い付き合いですが、よろしくー!」

って感じでね、あーまた来たなコイツゥー、って、まあお互い楽しくねやってたわけ。


それが、何これ?
連絡なしに大遅刻ですよ。
なんなら、もしかして今月ドタキャン?みたいな空気ですよ。

確かにね、あたしの生理なんてね、人様んとこの生理に比べたら、扱いがぞんざいかもしんない。
「よかった、きた・・!」なんて歓迎した試しなんて悪いけど一度もない。
その代わり、おめぇの足並み乱すようなことだって、一度たりとしてしてない。
生理には生理、あたしにはあたしの生活があった。


・・・・え・・・


もしかして・・いやいやいや、そんなはずはない。

あたしまだ花の20代だし、蝶よ花よだし。
視聴率は低いながらも、女のゴールデンタイム真っ只中のはずだし。


まさか・・・おめぇ・・・枯れちゃった・・?
止まってみた?
愛想尽かして実家に帰った?
お父さんのバカ!って家出した?

ま、まさかー!
まさかねー!
・・・・・。



誰かー!
うちの・・うちの村の井戸がぁー!
つ、ついに、枯れ・・た・・。


下半身が、東京砂漠。





その数日後、わたし初めてあいつの顔を見て

「ようこそ我が村へっ!!」ってホッとしました。


これが・・大人の女のたしなみ(月のモノ編)なのね。

私、大人の階段昇った。
みんなを飛び越えて、数段先まで昇った。