お母さん大好き、でも、たまに、しまっちゃいたい。

一週間ぶりに実家に帰ったら、お母さんがサトラレになってたよー。


いよいよ本格的に老眼の世界に足を踏み入れたようで、
携帯のボタンの位置関係が「非常に夜霧」つってた。

んで、電話かかってきたときに、「通話」の隣のへんにある「スピーカー」っぽいボタンを高確率で押してしまうようでね。

電話の内容がね、周囲に筒抜けなんです。


ほんとね、駅でね、突如、母に電話がかかってきて、
なんか緊急の電話だったみたいで、

母は必死に周囲に気を使いながら、口元に手を当てて、
ちっちゃい声で話してたんですけど、

完全にスピーカーホンですの。


で。

お父さんが、下痢で、仕事を早退してきたので、チョコとか甘いモン
買ってきて、
みたいな我が家の内部情報がね、
駅構内にだだ漏れでした。

途中、父の力作「チョコをちょこっと」みたいな、
ほんとね、世間にけっして晒してはならないモンがね、
駅で披露されてました。

ほんとね、空前の大舞台。


私もさすがに、なんとかしなきゃ!と思って、
何度か母の手を揺さぶり、「ちょっと!ちょっと!」つって
合図したのですが、
母は口に手を立てて「シー」って言われました。

シー・・じゃねぇ!

隙あらば、「ちょっと今、外にいて、聞こえなかったから、もう一回」
みたいなアンコールもありまして、

「チョコをちょこっと」が奇跡の再演を果たしてました。

ほんとね、聞こえてる。
全然聞こえてっから。

お母さんの耳に当ててる部分の、ちょうど反対側から、
世界に向けて発信されっから。変なのが。