美容院に行くと、いつも天罰受けるんだけど

軽い気持ちでクシャミをしたら、

いや、美容院で髪の毛洗ってもらってる ど真ん中だったんですけど、

美容師さんに微笑みながら
「大丈夫ですか〜?(うふふ)」
って言われて、

私もなんか恥ずかしげに
「あ、すいません(テレテレ)」
くらいに返したんですが、

テレッてる場合じゃ全然なかった。

顔にかかった布を飛ばさないように口を閉じてクシャミしたせいで、
照れながらも つるっと鼻水出てた。

つるっとっていうか、まあ、一種の仕掛け網くらいに。


このタイミングで漁業 営んじゃった。


つーか、鼻水なんて、普段あんまり出たことないのに、
今日に限って、宵越しの鼻水まで出たもんで。すごい出た。


完全に鼻半径8センチくらい網が開いちゃってるわけですが、
もちろん、私には、どうすることもできません。
美容院では人間なんて無力。

しかも、幸か不幸か、薄い布みたいのが顔に乗ってるせいで、
美容師さんは、まあ、全く気がついてないわけで。この異変に。
異変っていうか、惨事に。


でね、まあ、髪を洗われてる時のね、自分の首から上って、
なんかもう神の領域って言うか、
自分の体でありながらも、なんかもう、不可侵な空間になってるわけで、

この指一本動かせない状況で、
被害を最小限にしようと、できることって言えば、
必死に、鼻をすすったわけです。

あれ?なんかこの人、お蕎麦食べてない?って思うくらい、
すすり取ったわけです。

もうね、ダイソンか鼻かってくらいの、吸引力を発揮したわけですが、


いやー、全然戻ってこねぇ。
完全に自由行動になってた、鼻水たち。

集合ー!って、これでもかってくらい呼んだんですけど。

つーか、途中、吸い込みすぎて、
布と鼻水で軽く窒息しそうになったんですけど。

ほんと、自分の鼻水で溺れるとこだった。

で、その時に、ぐふってなってね、
第二陣も出ちゃったわけですが。鼻から。

もう、こうなったら、この布を、買い取りたい。
これ、いただけるかしら?ってスマートに言いたい。

なのに、まあ、美容師さんなんて、私の気持ちもお構いなしに、

「洗い残しとかございませんか〜?」みたいなね、

もうね、鼻です。
鼻に間違いないわけです。洗い残してるところは。

ただ、まあ、言えませんでしたけど。


で、そんなうちに、髪も流し終わって、
なんかもう、拭きはじめたりしてて、

私は、鼻水出ちゃったのでティッシュ下さいって言おう、鼻水出ちゃったのでティッシュ下さいって言おう、鼻水出ちゃったのでティッシュ下さいって言おう、鼻水出ちゃったのでティッシュ下さいって言おう、って呪文のように思ってたわけですが、

ブオーンって椅子とか立て始めたので、
今だって思った、そのちょっと前に、サって布を剥がされまして。

椅子とか立てる前に、剥がされたわけで。


えーっと、なんていうかな、
剥がされたけど繋がってたよね。

私と布と美容師さんが、まあ、軽い出港セレモニーみたくなってた。
あなたは船、私は港。
鼻から飛び交うなんらかのテープがね、もう感動的。幾重にも。
ほんと、別れをね、惜しんでた。


今となっては、そんなふうに振り返ることもできるあのシーンですが、
ほんとね、死んじゃうかと思った。

顔から火が出るとか言うけどね、何そのボヤ?みたいな感じでね、
顔が爆破されたかと思った。そんくらいの赤面。
夕方だったら、あれ夕日かしらっつーくらいの赤面。

で、まあ、この時ばかりは超疾風の如く、
毛糸を巻き取るように鼻水を巻き取ったわけです。
もう0.2秒くらいで巻き取った。


そんなわけで、美容師さんも私も序盤からすごい動揺してたわけで、
だからまあ、私のかけたパーマが結果パイレーツ・オブ・カリビアンみたくなっちゃったことも、
誰のせいでもないわけで。誰の・・せいでも・・。


って念じながら鏡見たんですけど、
間違いなくドレッドがかかってます。

・・・どしたら、こんなんなるの。クセ毛風つったのに。
こんなクセ毛いる?

口酸っぱく ゆるふわゆるふわ言ってたのに、海賊がいます。
ゆるふわゆるふわ言ってたのに、微塵も揺れねぇの。