この世にはびこる一切合切(いっさいがっさい)の霊という霊を信じていないのは何故かというと、見たことがないからです。
20年以上の年月をこの世界で生きてきて、手のひら一つ見かけたことがない。お声の一つも聞いたことがない。っていうことは、いないんじゃねぇの?っていうのが今のところ私の見解です。
これに賛同してくれる人が、まぁ感触的に6割強。
それと全くおんなじ理論で、私はSEXを見たことがない。
小学校中学校高校と共学で、男という男たちと同じ学び舎で机を並べながらも、その行為に立ち合ったことも、誘われたことすら、無い。
っていうことは、この世にSEXなんてないんじゃねぇの?ってのも私の見解です。
これに賛同してくれる人が、察するところに1割弱。
一切の霊現象にNO!と言える男、我らが大槻教授も、性現象までは「プラズマです」とは言ってくれなかった。
・・最近、元気かなぁ、大槻教授・・
「霊を見たことが無い。」と言うと大抵の人が
「霊感が無いからじゃん?」と言います。
私は多分キャベツ畑あたりに霊感どころかSEX感までもどっかに落としてきたようです。
「SEXもしたことが無い。」と言うと今度は大抵投げやりに
「出会いがないからじゃん?」と言われます。
多分、出会い能力が無さ過ぎて、霊にすら出会えないのかもしれません。
霊という現象はまさに不思議な現象で、だから人は怖いと思ったり、その半面で惹かれたりすると思うのですが、私にとってのSEXもまた未知との遭遇であり、ちょっと怖い、いやかなり怖い、ちょっとしたナマハゲくらい怖い。
で、そんな私と霊がある日偶然そのへんの道すがら出会ったとして、私も結構驚くと思うけど、むこうもむこうで
「え?まじでSEXしたことないんすか?」
っていうような込み入った話になってくると思うのね。
まぁね、恨み辛みはあれども、霊の中でも処女って少ないと思うのね。
よく男女関係のもつれで自殺して霊になったとか、結構ありがちな話なわけで。
でもさー、実際もつれるもんがあるだけマシっすよねー。まぁねー。みたいなね話になって、じゃあこっちも頑張っからオメェも早くいい男見つけろや!みたいなチョットいい話になっちゃう確率だってあるんですよ。
つまりこの歳でSEXもしないままボサッと生きてる女ってのは、もしかしたらそこいらの霊よりもよっぽど恐ろしい存在であるかもしれないわけ。
ちょっとした人生の金縛りにかかり続けているわけです。
でね、そんな摩訶不思議な存在になりつつある自分としては、もうね、隠したいわけですよ。
「あたしが魔女ッコだってことは、地球のみんなにはヒミツ」
くらいのレベルよりよっぽど高度なレベルで秘密なんです。
隠れて慎ましく、それでも穏やかな日々を暮らしているわけなんですけど、思ったんです。
霊だってね、おんなじ気持ちなんじゃないかって。
ただそこに存在するだけで、人に逃げられ、夜眠れないとか言われ、挙げ句の果てに部屋まで変えられて、実際ことさら何もしてないかもしれないのです。
だからひっそりと暮らすんだけども、そのひっそりさがまた霊としての恐ろしさを助長したりして、じゃあせめて人気の無い場所に・・って気を使おうもんなら、そこが心霊スポットとか言われちゃったりして「もーそっとしておいてぇ!」って思ってるのは霊の方かも知れない。
そしてSEXもまた、同じ気持ちを持って存在してるのかもしれない。
勝手に「秘め事」なんて言われて、そうそう陽の目も見れない日陰暮らし。
「キス」と同じような恋愛行為でありながら、キッスの野郎は月9の最終回で華添えてるくせに、俺なんか良い頃合いのとこで朝の場面ですよ?おれの仕事ごっそりカットですよ。
みたいな。
だからね、結局、みんな各々結構頑張ってるわけ。
私も霊もSEXも。
慎ましくも今の生活を「でもどっか今の自分嫌いじゃないぜ」みたいにして生きてる(約一名死んでる)わけですよ。
でもね、私たちの暮らしっぷりはね、公にできない獣道なわけで、日常はコソコソと目立たないように息を潜めて暮らしてるわけです。
だからこそ私と霊とSEXはいつまでたっても出会えないのかもしれません。