救命病棟を見まして (またこの話でごめんねー)
地震と医療のコラボってすげーぇ!なんて思いつつ夜勤に行ったわけだけど、
4時57分。朝っぱら。
今日は結構病棟も比較的落ち着いてて、いやーボロイ商売だーなんつって近藤さんに尿瓶(しびん)当ててた、まさにその時でした。
関東に震度4の地震発生。
いやぁ私なんか生まれも育ちも江戸っ子ですからね、
ちょっとやそっとの地震なんかじゃ驚きませんよ。
3くらいは日常茶飯事ですかんね。
・・・震度4、なめんなっ!
尿瓶(しびん)ズレズレだったからー。
近藤さんを9割方、受け止めそこねてるからー。
波打った尿瓶の中のもんが、近藤さんに思いっきりかかってるからー。
まさに生けるキャッチアンドリターン。
さっきまで「いつも悪いねぇー汚いのに」「いえいえ大丈夫ですよー」なんて和やかだった二人の間に、一瞬にして歪みが。
私はとっさに「地震だっ!」と叫び、その気まずい雰囲気を脱出した。
湿った近藤さんをよそに私は使命感に燃えていた。
きた!
ついにきた!
関東大震災(だと思ってた)!
シュミレーションはばっちりだ。
非常電源はコンセントを赤のプラグに差し込んで・・
酸素は出るかな・・
吸引圧は・・
私は患者の部屋をテキパキと見回った。
心は松嶋だった。
結局、停電すらしなかったわけだけど。
7割がたグースカ寝てたわけだけど。
いやーみんな無事で良かったねー
なんて、若干肩透しな感じでナースステーションに戻る頃
『たすけてー!』
の声。
もうね、救急カート持って駆けつけましたよ。
何なら除細動(心臓に電気かけるやつ。ドクターが持って「下がって!」とか言うアレ)持って駆けつけましたよ。
部屋に入ると、患者が倒れてた。
まではドラマ通り。
ただひとつ違ったことは、ポータブルトイレと一緒に倒れてた。
ポータブルトイレっていうのは、簡易便座みたいなもんで、トイレまで行くのが大変な人が、ベットの横で楽にトイレできるように設置されているものなんだけども・・・
この患者は不幸なことにポータブルトイレを使用中に被災したらしく、トイレと一緒に倒れたらしいんだけど、
トイレの中身がドアまでせめぎあってるんだよねー。お見事。
勢いあまった救急カートが患者の具を踏んづけてるんだよねー。前輪でウンコ一回点半。
患者の下半身は完全に浸水。
軽い院内スマトラを目の当たりにして、思う。
救命(ドラマ)じゃ、教えてくれなかった・・・。
つーわけで、東京震度4。
被災者2名。